むつ湾とほたてゾーン

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ホタテガイの生態

学名の由来

Potinopecten Yessoensis
分類:軟体動物門 二枚貝網 イタヤガイ科
1856年、アメリカ人のJayによって命名され、その意味は「蝦夷産の櫛」で、貝殻の表面の条肋を櫛の歯になぞらえたものです。

和名の由来とホタテの移動

ホタテガイは、「帆立貝」、「車渠」、「海扇」などと書かれてきました。ホタテガイの名の起こりは、和漢三才図会(1716年、寺島良安編)にみられるように、「・・・口を開いて一の殻は舟のごとく一の殻は帆のごとくにし、風にのって走る。故に帆立蛤と名づく。」によるもので、一片を帆のように立てて海中を走るものと考えられていたのでしょうが、誤りです。たしかに、素早い運動はしますが、それは、貝の中に入っている海水を勢いよく吐きだすこと(閉殻筋=貝柱によって殻を閉じる)によって、その反作用で跳ぶように動くもので、帆を立てて走ることはありません。

生態的特徴

海外では、ヨーロッパホタテガイ、アラスカホタテガイなどがあります。国内では、本州東北地方から北海道の潮の流れが比較的速い砂地の海底に生息しています。

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貝柱

体の中で最も大きい器官です。普通の二枚貝は貝柱が二ヶ所ありますが、ほたてがいの仲間は発生の初期には二ヶ所にあり、大きくなると一方が退化します。ほたてがいが泳げるのはこの巨大な貝柱のおかげです。

生殖巣

ほたてがいの仲間は通常雌雄同体ですが、日本のほたてがいは雌雄異体です。産卵期が近付く十二月から四月頃には大きく膨らみ、雄は白色、雌は赤色となります。

外套膜

通称ヒモと呼ばれ、貝殻を作る働きをしています。

外套膜の上に黒く点在しています。レンズや網膜などがあり、高等動物に匹敵するほど発達していますが、実際は光を感じる事くらいしかできないようです。

海水中から餌を取り込んだり、呼吸する働きをしています。

心臓

ほたてがいの心臓は二心房一心室からなり、動脈と静脈が通っています。血液は無色透明です。

中腸腺

通称ウロと呼ばれ、肝臓とすい臓の働きをしています。また、内部には胃があり、取り込まれた餌はこの胃で消化されます。

ほたてがいの貝毒

陸奥湾のほたてがいには、春~秋季、下痢性の貝毒が蓄積されることがあります。これは、貝類の餌となっているプランクトンが原因とされていますが、主に、ほたてがいの中腸腺(上図参照)に蓄積されることから、中腸腺を除去すれば安全です。

栄養と料理

ホタテガイの栄養

ホタテガイは甘みと旨味に富み、誰にも好まれる「貝の王様」です。
この美味しい貝の味に寄与している成分は主にアミノ酸のグルタミン酸、グリシン、アラニン、アルギニンと核酸関連物質のアデノシン1リン酸であることが分かっています。
ホタテガイの貝柱には春から夏にかけてグリコーゲンが大量に蓄積され、更に旨味を増します。また、ホタテガイには目や脳の発達を助け、コレステロールを減らして血圧を下げる働きをするタウリンも豊富に含まれています。
近年、ホタテガイには制ガン作用のある糖タンパク質が含まれていることが明らかになり、この物質は生体の免疫細胞を活性化させる働きを持つとされています。従来の制ガン剤のように直接ガン細胞を攻撃するわけではないため、他のリンパ細胞や骨髄細胞等大切な細胞まで破壊する危険を伴うことなく生体自身の免疫力を高めることによってガン細胞の増殖を抑制できる可能性を示しており、今後の研究によって制ガン剤としての実用化が期待されています。

ホタテガイの栄養と特性(可食部100g中)

項目 生むき身 生貝柱 干し貝柱
エネルギー 77kcal 105kcal 325kcal
水分 81.2g 74.5g 17.8g
蛋白質 13.8g 20.8g 63.7g
脂質 1.2g 0.8g 2.6g
糖質 1.8g 2.4g 7.6g
灰分 2.0g 1.5g 8.3g
カルシウム 49mg 11mg 35mg
リン 170mg 75mg 250mg
1.0mg 0.4mg 1.3mg
ナトリウム 250mg 220mg 2300mg
カリウム 310mg 360mg 960mg
ビタミンA(カロチン) 15μg
ビタミンB1 0.02mg 0.04mg 0.12mg
ビタミンB2 0.29mg 0.10mg 0.30mg
ナイアシン 2.1mg 1.4mg 4.6mg
ビタミンC 1mg 3mg 0mg
塩分 0.6g 0.6g 5.8g
世界の帆立の仲間達

世界の帆立の仲間達

オーストラリア産ホタテガイ
アラスカ産ホタテガイ
カリフォルニア産ホタテガイ
ニュージーランド産ホタテガイ
ヨーロッパ大西洋岸産ホタテガイ
南米チリ産ムラサキヒヨク
中国産アズマニシキガイ
北米・大西洋産マゼランツキヒガイ
その他

ホタテガイの料理

ホタテ料理は刺身、貝焼き、鍋物など生でも、焼いても、煮てもおいしく調理できます。また、稚貝もみそ汁からパスタ、サラダなど幅広く賞味できます。さらに保存方法も冷凍、ボイル、乾燥など用途に応じて活用できます。

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